LIFEHACKS
INTRODUCTION
乳がんが発覚し、半年間にわたる抗がん剤治療が必要だと告げられたとき、私は「仕事はもう続けられないだろう」と思っていました。
けれど、闘病の経験者がある友人の話を聞き、仕事を完全に離れるのではなく、できる範囲で働きながら治療を続けることを選びました。
今回は、治療と仕事を両立することにした理由や、会社への伝え方、実際にどのように働いたかをご紹介します。
01|仕事を続けようと思ったきっかけ
私は都内の企業で、フルタイムで勤務しています。仕事の性質上、出張や社外での面談は比較的少なく、繁忙期もある程度見通すことのできる環境でした。それでも、抗がん剤治療が必要だと聞いた瞬間、「もう働くのは無理だ」と思いました。
過去に周囲で重い病気を患った方は殆ど出社されている姿を拝見したことがなかったためです。これまでと同じように仕事をすることは想像できず、しばらく仕事から離れることになるのだろうと、漠然と考えていました。
一方、私は仕事も同僚と一緒に働く時間にも楽しさを感じていたため、これまで当たり前だった職場や日常から離れることには寂しさもありました。
更に、現実的な問題として、収入も気がかりでした。もし長期間仕事を休むことになれば、収入は減り、住宅ローンを支払うために、貯金を取り崩すことになるのではないかと、病気そのものへの不安に加えて、仕事や生活、お金のことまで、様々な心配が一気に押し寄せてきました。
そんなとき、私は乳がんの抗がん剤治療を経験したことのある友人に勇気を出して相談をしました。彼女は心配して直ぐに返事をくれました。
「私は、完全に治療だけに専念するより、できるだけ普段の生活を続けながら治療できる方法を探したよ。ずっと“病人”という感覚で過ごすのが嫌だったから。まだある程度体力もあったし、結果的にはその方が自分には合っていたと思う。」
それまで、抗がん剤治療が始まれば治療に専念するものだと思い込んでいたので、「そのような考え方もあるんだ」と驚きました。そして、彼女の言葉に背中を押され、治療をしながらでも仕事を続けていくことを決めました。
02|働き方を会社と相談する
早速、会社の人事担当者に相談しました。そこで、自分の希望を伝え上で、会社の「治療と仕事の両立支援」を利用することになりました。私の勤務先では、がん等の治療を受けながら働き続けたい社員を支援するための制度が整えられていました。
近年は医療の進歩などにより、治療を受けながら仕事を続けるという選択肢も広がっており、企業側でもこうした両立を支援する取り組みが少しずつ整備されてきているようです。
実際には、主治医が作成した治療計画をもとに、治療のスケジュールや副作用が仕事にどのような影響を与える可能性があるのかを確認しました。その上で、会社と相談しながら、自分に合った働き方や、利用できる休暇制度などを整理していきました。
また、治療と仕事を両立するためには、働き方を調整するだけではなく、周囲の理解や協力も必要になります。私も、業務上必要な範囲で治療のスケジュールや働き方について共有しながら、周囲に協力してもらいました。
03|実際にどのように働いたか
実際には、乳がん発覚から一連の治療が終わるまでの約10ヶ月間、主にテレワークで勤務し、残業はせず、体調や通院のスケジュールに合わせて休暇を取りながら仕事を続けました。治療中の体調や副作用の出方は人それぞれですが、私の場合は、治療の内容に合わせて働き方を少しずつ調整していきました。
乳がんの治療は、手術やその後の治療を予定通り進めていくことが大切です。そのため、仕事のために無理をすることよりも、感染症などによって治療スケジュールに影響が出ないよう体調管理を優先しました。そのため、乳がんが発覚してから直ぐにテレワークでの勤務を開始しました。
手術・入院では約1週間仕事を休み、その翌週から、主治医の許可を得たうえで、テレワークで仕事に復帰しました。放射線治療が始まってからは、毎朝通院して治療を受け、自宅に戻って仕事をする生活を続けました。
抗がん剤治療が始まってからは、更に働き方を調整しました。私の場合、抗がん剤の投与日は毎回水曜日だったため、治療日を含めて水・木・金曜日の3営業日は休暇を取得。土日を合わせて5日間身体を休め、翌週の月曜日から仕事に戻る、というサイクルで過ごしていました。また、休む頻度が高くなるため、短納期の業務から外していただくなど、業務量も調整してもらいました。
このように、治療期間中ずっと同じ働き方をするのではなく、その時々の治療内容や体調に合わせることで仕事を続けることができました。
そして何より大切なのは、無理をしないことです。特に、抗がん剤治療中は副作用の影響により体調に波があります。働ける日は働き、休む必要がある時はきちんと休む。そのくらい柔軟に考えることが、治療と仕事を両立する上では大切だと思います。
04|周囲の理解と協力があってこそ
治療と仕事を両立する上では、自分が働ける時間が限られる分、同僚や上司に負担や迷惑をかける場面もあります。だからこそ、周囲の理解や協力はとても重要です。
私の場合は、上司に定期的に30分間の1on1の時間を設けていただき、治療の状況やその時々の体調を共有していました。それに合わせて業務量や仕事内容も調整していただくことができ、無理をせず仕事を続けることができました。
治療中は体調を自分でも予測できないことがあります。だからこそ、「今はどの程度働けるのか」「どのような配慮が必要なのか」をその都度安心して伝えられる環境があったことは、本当に有り難かったです。その上司には今でも心から感謝しています。
そして今回の経験を通して、普段から仕事に誠実に向き合うことや、同僚や上司とコミュニケーションを重ね、信頼関係を築いておくことの大切さも改めて感じました。周囲の人たちの優しさには何度も助けられ、そのおかげで安心して治療に向き合うことができました。本当に、感謝してもしきれません。
05|職場復帰について
すべての治療を無事に終えたあとも、すぐに以前と同じ働き方に戻ったわけではありません。最終投与から約1か月半はテレワークを続けながら、生活リズムを整え、体力を回復させ、所定労働時間を無理なく働けるよう少しずつ身体を慣らしていきました。
その後の職場復帰も、いきなり従来通りに戻すのではなく、まずは週1回の出社からスタートしました。定期的に会社側の医師との面談も行いながら、半年ほどかけて徐々に出社回数を増やしていくことになりました。
テレワーク中心の生活が続いたあとでは、通勤することや、一日中ウィッグをつけたまま過ごすことも、思っていた以上に負担に感じることがあります。久しぶりに職場へ行くこと自体に緊張したり、多くの人と直接コミュニケーションを取ることで、想像以上に疲れることもありました。
だからこそ、焦らず、少しずつ慣れていくことが大切です。ここでもやはり、自分の体調を過信せず、無理をしないことが何より大切だと感じました。そして、少しずつ慣れていくうちに、いつかまた以前のように自然に日常を送れるようになる。そんな気持ちを持ちながら、焦らず前向きに過ごしていただけたらと思います。
※この記事は、私自身の経験をもとに書いています。症状や治療内容、経過は一人ひとり異なります。内容は一つの体験談として参考にしていただき、医療に関することは主治医や医療機関などの専門家にご相談ください。

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